2022年10月
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12A ROYAL NIGHT OUT英国王女の秘密の外出〔2015年=英作品/97分◆ジュリアン・ジャロルド監督〕File No.58 英国エリザベス女王を追悼してこの1本を選んだ。“王室もの”は数あれど、実話に基づいて生身の「王女エリザベス」を描いた異色の作品だったからである。 1945年5月8日、6年も続いた欧州戦線で勝利した(第二次大戦で連合国がドイツを降伏させた)ことを祝い、英国中がお祭り騒ぎになった。バッキンガム宮殿ではバルコニーで国王のジョージ6世(ルパート・エベレット)が勝利宣言、王妃(エミリー・ワトソン)や19歳のエリザベス王女(サラ・ガドン)、妹のマーガレット王女(ベル・パウリー)、チャーチル首相が正装で手を振る。その興奮からエリザベスとマーガレットは父である国王の許可を得て普段着に着替え、非公式の外出に。 お転婆な半面、まだ世間知らずの姉妹は、付き添いが目を離した隙をみてシャンパンを飲み、若者たちに混じってダンスに興じたりハンサムな男に言い寄られたり…。果てはバスに飛び乗ったマーガレットを追って雑踏に飛び出したエリザベスは場所が分からないまま未知のワンダーランドを彷徨うことになる。 トラファルガー広場にホテル・リッツ、ソーホー、テムズ川…とロンドンの名所を巡りながら王女たちの“大冒険”が綴られる。その出来は決して映画史に残る名作とまでは言えないが、エリザベスが「国民に寄り添う」感性を持ったきっかけに違いないと思わせる。とりわけ近年の「女王」としての優しい振る舞いと、国民的な人気のルーツを見たような気がした、好印象の作品であることは間違いない。そう、在位70年を迎えられ「本当にお疲れさまでした」と、英国民でもないのに感謝の言葉をかけたくなったのは、紛れもなくこの作品を観たからだ。『ロイヤル・ナイト  』

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