2023年2月
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時代を切り取る流行語その二百十二ブラボー流行語は、巧みに「時代を切り取り、映す」。最近では《ブラボー》や《知らんけど》が印象深い。そう、《ブラボー》は先のサッカーW杯カタール大会でE組を首位突破した日本チームの長友祐都選手が、テレビインタビューで発した歓喜の言葉である。イタリア語で「素晴らしい!」「お見事!」「やったぞ!」の意。海外経験の豊富な長友選手ならではの喜びの表現である。もっとも、《ブラボー》(は男子チームが対象で、女子チームには《ブラーヴェ》(brave)と称えるそうだ。音楽会でも演奏者が男性ならば《ブラボー》、女性であれば《ブラーヴェ》が正解だという。わが国の演奏会でも《ブラボー・コール》は賞賛の拍手と声と共に観Bravo)客席から飛び交う光景が見られる。ただ、音楽通の礼儀としては《ブラボー》の発声は演奏が終わり指揮者がタクトを振り収めてから、となっている。が、われ先を競うようなフライングが多いような気がする。いかがなものか―。そして「ユーキャン新語・流行語大賞」に選ばれた《知らんけど》。キャッチした情報を語るとき、文末に付け加える。情報の真否や断定を避け「責任を回避する」言い方。関西人がよく使うようだ。いや広島地方でも「ウソかホンマかわからんが…」という前置きの会話をしばしば耳にする。SNSなどの普及で情報の信憑性が覚束無い昨今、リスク分散の役目を果たしているのかも。それこそ《知らんけど》―。また、生命保険会社の「創作四字熟語」最優秀賞には《遠客再来》が選ばれた。『千客万来』のもじりである。政府が新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、海外から観光客が再び訪れるようになったことを表現したもの。だが、年を越してもコロナ禍は衰えず心もとない限りだ。「四文字熟語で今を斬る」が当欄のコンセプトだが、まさに熟語・流行語は「時代を映す『鏡』である」とあらためて思う。ながともゆうたたしんぴょうせいみずぎわおぼつか  と  ぶらぼー  な 十

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